実質的に柔道の段位の最高位である十段。これまでに十段を保有している人は何人いるのでしょうか。
柔道の最高段位となる10段。これまでに、10段を保有している方は何人いるのでしょうか。
柔道の段位
講道館柔道では、段級位制を採用しています。これは、数字の大きい級位から始まり、上達に連れて数字の小さな級位となり、初段の上はまた数字の大きな段位になっていくものです。
段位制は、囲碁や将棋において古くから行われていましたが、それを武道、格闘技に最初に導入したのは、嘉納治五郎氏の講道館柔道です。その後、大日本武徳会が警視庁で導入されていた級位制を段位制と組み合わせて段級位制とし、柔道、剣道、弓道に導入しました。
柔道の創始者である嘉納治五郎氏は、『柔道概要』の中で、「初段より昇段して10段に至り、なお進ましむるに足る実力あるものは11段12段と進ましむること際限あるなし」と述べている通り、上限は決められていません。ですが、10段よりも上へ昇段した前例はなく、今日では10段が事実上の最高段位になっています。
柔道の段位は、強さの象徴でもありますが、段位が上がっていくにつれ、技術だけではなく、名誉段位という意味合いも強くなっています。実際の昇段試験の際も、「競技成績」「修行年限」「審判実績」といったように、8段までは明文化されていますが、9段ともなれば、存命の9段保有者が審議して決めることになっており、10段については、講道館長の裁量に任されることになるという、最上位高段者になればなるほど、昇段の条件が曖昧になってしまっています。
一方、現役選手は3~5段がほとんどで、これは、全日本柔道選手権やオリンピック柔道競技、世界柔道選手権、春・秋の講道館紅白試合の技量抜群者に与えられる「特別昇段」の段位条件や、年齢・修行年限などの制限が課されているためです。実際にオリンピック2連覇で世界選手権を7度制した谷亮子も現役時代の段位は4段でした。
講道館柔道十段保有者は
明治15(1882)年に創設され、130年あまりの歴史のある講道館柔道。その長い歴史の中で数々の名柔道家が育まれてきました。その中でも講道館10段保有者は、2012年時点で、故人も含めて、15名となっています。この10段にいたることができるといわれている人数も、柔道入門者の12万人に一人しかなれる可能性がないというほどの狭き門となっています。
世界の十段保有者は
国外では、国際柔道連盟での10段保有者は、アントン・ヘーシング(オランダ)、チャールズ・パーマー(イギリス)、ジョージ・カー(イギリス)の3名となっています。他にも、フランス柔道連盟のアンリ・クルティーヌ、オランダ柔道連盟のnl:Jaap Nauwelaerts de Age、女性では福田敬子(在アメリカ)ただ1人です(講道館では9段)。
あれだけいるフランスの柔道人口でも、わずか一人しか習得できていません。
まとめ
柔道の最高段位である10段ともなれば、名誉段位の意味合いが強いですが、そこまでたどり着くにも相当の柔道の実力が具わっていてこそなので、なかなか取得出来るものではありません。また、実力だけでなく、柔道界への貢献も大きいです。
柔道を国内外に広く広める活動や柔道の普及に貢献するなどの相応しい功績も併せて必要となり、偉大な段位です。そんな偉大な段位の持ち主が、故人含め、少なくとも日本に15名おられるということは、日本にとってとても誇らしいものであり、これからの歴史に残っていくものといえるでしょう。