みなさん、「コル」という言葉をご存知ですか。「コル」は登山用語なんです。今回は登山用語「コル」について、ご紹介していきます。
コルってなに?
「コル」とは尾根上のピーク(山の一番高くなっている場所。山頂のこと。)とピークの間の標高が低くなったところです。鞍部(あんぶ)、タワ、タル、峠、キレットなどと呼ばれることもあります。
(同意語のようですが、キレットとは一般的により規模の大きな鞍部を指すことが多いようです。)
南アルプスの北岳の稜線上にある「八本歯のコル」という名は聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。本来は単に言語の違いだけなのですが、「鞍部」というと山地であればどこにでもあるので、 親しみやすいような気がするのに、「コル」というと何となく険しいそうなイメージになって、ちょっと気構えしてしまう人もいるかもしれません。
「八本歯のコル」も急峻な岩場につけられたハシゴをいくつも越えなければなりません。 地形図で見る「鞍部」とは使い分けて、登山用語の「コル」は急峻で高低差が大きいものをイメージしているようです。
語源は?
「コル」という言葉はもともとラテン語の col で「首」の意味なんだそうです。 これが英語では「鞍部」の意味となります。 稜線上で山と山の間のへこんだところなら「峠」も「コル」ということになります。 フランス語では col は「峠」の意味になります。
コルの注意点
先ほどもお伝えしたように、コルは高いピークとピークの間なので、風が強いため注意が必要です。また、日本国内では前穂高岳北尾根の「5、6のコル」や穂高岳山荘の建つ「白出のコル」が有名です。ラインを読みながら落石やルートファインディングに注意してください。
「コル(鞍部)」と「峠」は同じ?
地形的には「コル(鞍部)」のあるところに「峠」があることになるのですが、 実はこの二つの言葉は厳密には異なって用いられます。 「峠」は稜線の側面の片方から反対側に乗り越えるように道がつけられているのに対して、 「鞍部」は稜線をつたって歩くようになっていて、越えることはできません。 地図をよく見ると、確かに「峠」には稜線を乗り越える道があることがわかります。
「コル」のほかにも地形によってつけられた名前などを覚えていくと、 あとで仲間内で登山の報告や思い出話をするときに説明しやすくなるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか。「コル」とはどんなものか理解できましたか。みなさんも登山をする際は、山の情報や登頂ルートの確認など事前準備を大切にしてくださいね。