歓迎会を開いてもらう立場になったとき、社会人として寸志を包むことがあります。
寸志とは、歓迎会を開いてもらったことへの感謝と心付けの意で渡すことで、今後の人間関係の構築の一助となる存在です。
ただし、会社によっては寸志を用意することで幹事を困らせてしまうことがあるので、そのときは現金でなくみんなが使えるようなものを用意するなど、相手の負担にならないよう考慮しましょう。
寸志とは、江戸時代から行われている日本の文化で、冠婚葬祭等の場面でスタッフや運転手の方に少しばかりのお礼を伝える場合や職場の歓迎会等で開いてくれてありがとうという労いの気持ちを伝える場合に、少しばかりの金額を包み、お渡しすることです。また、寸志は場面によって封筒の選び方や書き方が異なります。
今回は、歓迎会での寸志について調べてみました。いざ、自分が寸志を渡すことになったとき、金額の相場は?封筒の選び方は?封筒にどう書いたらいいの?といったお悩みの解消に役立てればと思います。
歓迎会で用いられる寸志とは
職場等で歓迎会を行うとき、幹事から
「~部長からごこうしをいただきました。」
と一言はさむ場面を経験されたことがありませんか?
これは
「歓迎会を開いてくださってありがとうございます。」
というお礼で、歓送迎会の足しにしてくださいという意味です。
寸志は、目上の方から目下の方へ使う言葉で、逆の立場で使うと失礼にあたるため注意が必要です。ただ、寸志は歓迎会で必ず渡さないといけないというわけではありません。
会社の歓迎会で寸志を渡す風習があるかどうかという点が重要になります。寸志を渡さないからといって常識がないというわけではないので、その会社の風習について確認することも大切です。また、幹事が寸志を頂いたことをみなさんに伝える際は、寸志というのはNGです。
冒頭にも書きましたが、「おこころざし」または、少し丁寧な言い方で「ごこうし(ご厚志)」と伝えるのが望ましいです。
寸志を渡すタイミング
寸志は、歓迎会が開かれる前に渡すのが望ましいです。歓迎会終了後や途中で渡してしまうと、お金の管理がややこしくなってしまったり、一言お礼をみなさんに伝える機会を逃してしまうためです。
渡す側としては、「少しですが足しに使って下さい。」と開いて下さることへの労いの気持ちを添えて渡すといいかもしれません。また、当日会場で渡すときは、目立たないようにして渡すことも大切です。
寸志の相場
寸志の相場は、5千円~1万円とされています。これは、紙幣1枚の方が管理がしやすく、封筒にもきれいにおさまるということからこの金額になっているようです。
金額は固定されていませんので、もし事前に会費が知らされているのであれば、会費と同額、またはそれより少し多めの金額を包むとよいです。特に、転職者や上司として異動してきた場合の歓迎会では、多めに包むことが多いです。
寸志を入れる封筒の選び方
寸志を入れる封筒は、「のし袋」がベストです。のし袋といっても様々な種類がありますが、一般的には封筒型で表面が「花結び」という水引でちょうちょ結びされた封筒が望ましいです。また水引がついているのし袋でないといけないというわけではないので、イラストがコピーされているものでもかまいません。
もし、そういったものがない場合は、「赤棒のし袋」と呼ばれている白い封筒に赤い線が一本引いてあるだけの封筒を使用してもかまいませんが、花結びののし袋は、100均やスーパー、ホームセンター等でも売っているので、入手先に困るということはありません。
場合によっては、白い封筒でも大丈夫
最近の傾向ではありますが、もしコンビニしか開いていない時間帯に、花結びののし袋が必要になってしまった場合、仕事での歓送迎会などで渡す寸志の場合によっては、白い封筒を使用してもかまわないといわれています。
封筒の書き方
万年筆やボールペンで書くのは避け、濃いめの墨汁を使った筆や筆ペンで書くようにしましょう。のし袋の水引の上の部分には「寸志」または「謝辞」「御礼」、下の部分には自分の名前を書きます。裏側には中袋といわれるお金を入れる封筒がセットになっている場合とセットになっていない場合とで書き方が異なります。
中袋がセットになっている場合は、中袋に住所と名前を記入、金額を書く枠があればそこに金額します。中袋がセットになっていない場合は、のし袋の裏面に住所と名前を記入し、特に金額は記入しません。
ただ、仕事関係の場合、お返しをもらわないのが前提なので、金額を書く枠が有る無しに関わらず金額を書く必要はありません。もし金額を記入する際は、数字ではなく漢字で、1=壱、5=伍、10=拾、といったように記入します。
寸志と御礼の使い分け
自分が目上の立場であれば、「寸志」と書きます。
自分より立場の高い方が歓迎会に出席する場合は、仮に自分が幹部クラスであっても、表面には「謝辞」「御礼」と書きます。
送別会の場合
先ほど、自分より立場の高い方が歓迎会に出席される場合は、「謝辞」や「御礼」と記入すると書きましたが、送別会での場合は、「松の葉」と書くといいとされています。松の葉とは、寸志と同様の意味を持つ「ほんの気持ち」という意味合いがあります。
逆に、送別会の場面で、自分より立場が上に人が一人もいない場合は、歓迎会送別会関わらず、寸志と書きます。
取引先との忘年会の場合
取引先の忘年会に誘われたときも、寸志は必要です。この場合は、「御礼」と書くのが無難ですが、相手から仕事を貰っている場合は、「薄謝」「謝辞」と書いたほうが失礼にあたりませんので、取引先とはどういった関係なのかという点で使い分けるといいでしょう。