基本的なルールや見た目の印象が同じように見える野球とソフトボールですが、ソフトボールはグラウンドが小さく、ピッチャーは下から投げるなどの誰もが知っている違い以外にも技術的な違いが実はたくさんあります。
ここでは野球とソフトボールの打ち方の違いに注目して比較してみます。
投手と打者の距離感の違い
投手の立ち位置となるマウンド、打者の立ち位置となるバッターボックスの距離が野球とソフトボールで違いがあるのはご存知の方が多いと思います。
では具体的にこの距離の違いが、「球を打つ」という同じ目的を達成する上で技術的にどのような違いがあるのか、という点をまとめてみます。
1.投手が投げた球の軌道
2.打者の打ち方のタイミングの取り方
3.バットスイングの軌道
代表的な違いとして以上の3点が挙げられます。
一つずつ解説していきます。
投げられた球の軌道
ソフトボールでは投手は「下投げ」と規定されていますから、野球のように上から振り下ろされる軌道とは違い、地面から浮き上がるような軌道を描きます。
打者が実際に見え、感じる投球は球の大きさの違いもあり、同じ球速であれば迫り来る迫力はソフトボールのほうが大きく感じるでしょう。
打つ動作のタイミングの取り方
球速にも影響を受けますが、投手と打者の距離が近ければ近いほど球をバットに当てるのが難しくなるため、距離に応じたタイミングの取り方が重要となります。
野球の方が投手と打者との距離が遠いため、打者は手元にボールが来るまでの間に足を上げたり、上体をねじる、バットを引き戻すなど(この一連の動作は「テイクバック」と呼ばれています)し、段階的な動作でタイミングを取ります。
一方、ソフトボールは投手と打者との距離が近いため野球と同じテイクバックを取っていたのではバットが振り遅れてしまいます。
一般的にソフトボールでのテイクバックは足を上げず、上体とバッドもあまり動かさないようにしておき、素早くコンパクトにバットを振れるようにタイミングを取ります。
バットスイングの軌道
上記の2点の球の軌道とタイミングの違いがあることによって、「当てる」また「遠くに飛ばす」という目的を達成するためにはバットの振り方にも違いが生じてきます。
野球でもソフトボールでも、使用するバットには「芯」と呼ばれる部分があります。
この芯にうまく当てる打ち方をすることで打球は反発力を得て、鋭く、また遠くに飛ぶことになります。
ですが、この芯のどこに当てても良いという訳ではなく、丸いバット(芯)のさらに中心部になるべく平行に球を当てなければなりません。
丸いバットの上部に当たればフライが上がりますし、下部に当たればボテボテのゴロになるという訳です。
このような点から、丸いバットの芯の中心部に当てる確率を上げるためにバットスイングの軌道に工夫した打ち方が必要になります。
投げられた球を上から叩くように振るのが「ダウンスイング」。
反対にゴルフのように下から掬い上げるように振ることを「アッパースイング」と言います。
野球ではグラウンドが広いため、球をより遠くへ打ち返す必要があるためアッパースイングに近いバットの軌道になる場面が多いですが、ソフトボールの場合は球とバットの性質上、遠くへ飛ばすことよりも鋭くゴロを転がしたり、内野手の頭を超えていくような打球が求められる場面が多いのでダウンスイングに近いバット軌道となります。
違いが分かると楽しくなる
以上のように同じように見える競技でも中身や考え方は以外にも違う部分があるんですね。
オリンピックなどの世界大会でも登場する競技ですから、違いを知った上で見るとまた違った楽しさも感じられると思います。
家族や友人と観戦をしたり、ソフトボールに関しては会社の親睦イベントや学校での親子行事などでも広く行われている競技ですので今回の記事がお役に立つ機会があるかも知れません。
知らないで楽しむことも良いですが、知った上で楽しむほうがより深く楽しめるのではないでしょうか。