悲喜こもごもですが、退職者が後輩にかける言葉と、言葉に含めたい気持ちを。
何はともあれお礼の気持ちを先行
退職に至った背景はそれぞれありますが、長短に限らずいっときでも同じ道を走ってきたメンバーや会社に対してのお礼は最低限必要です。ただし、「これまで有難うございました。」という冒頓な表現だけではなく、「特に●●のプロジェクトでは、▲▲の時に大きなご支援を賜ったこと、重ねてお礼申し上げます。」と具体的なシーンを織り込むことで、たとえ一部の人しか分からなくても、その時に一緒に苦労したメンバーは一つ上の感慨をもって受け取ってもらえます。
自分のために開催される会であればこそ。
状況によっては自分より年長の方が残られることもあると思います。前半ではとくにその点に着目し、「○○部長、取締役、色々と最期までお手間をおかけしてしまい」と、一旦反省の意思を見せ、それでも「それでもおかげ様で何とかここまでこれた」という姿勢を示すことで、社会人としてのけじめをつけた、と思ってもらえるようにしましょう。
また送別会の開催には若手が細かく動いてもらっていることを感謝し、「●●さん、今回は”忙しい中”このような盛大な会を”私のために”開いていただき、本当に感謝しております」と、具体的な名前を挙げて労いのお礼をすることは必須です。名前で指名されることで、労いがちゃんと伝わります。
中盤では多少の自戒も。
とはいえありきたりな感謝ばかりではなく、あの時こうすればよかった、という自戒も必要です。時代や違いこそすれ、残る後輩も、近似したシーンに悩むことがあります。仕事への取り組み方や、考え方(こういう考えで行動したが甘かった等)に対して、自戒を込め「同じ轍を踏むなよ」と伝えてください。細かな描写は不要でも、先輩の愚痴ではなく、自戒として多くの前で話されたことは、後輩の仕事のヒントになることが多いです。
最期に感動させるのは難しいし、求めなくても。
一貫してほしいのは、感謝に基づいているということです。成功したストーリーを語るのではなく「人生をかけた時間がそこにあった」ということです。「一人で戦ってきたのではなく、目の前にいる後輩達という”戦友”と出会えたことに今はただ感謝が残った」という表現を聞いたことがありますが、今でも私の頭に残っています。
泣いたり、身震いするような内容もいいですが、当たり前と思えそうな言葉でも、記憶になりえます。そういった言葉こそ、後輩たちの金言になるのではないでしょうか。
まとめ
言葉は以外と聴者に残ったりします。
これまで傾聴だった役割を活用し、自分がいなくなった後の路を切り拓く後輩には、ノウハウの提供とエールとしてのシンプルな言葉を、飾らない言葉で表現してはいかがでしょうか。