「ピピーッ!」 ラグビー場の空に響き渡る、レフリーの吹くノーサイドの笛。 負けて泣きじゃくる選手たちと勝って嬉し泣きの選手たちが、互いに健闘を称え合う。さっきまでどれ程激しい闘いをしていたとしても。何故なら、それが“ノーサイド”だから。
なぜラグビーの試合終了の合図は「ノーサイド」というのでしょうか。今回は「ノーサイド」について、ご紹介します。
ノーサイドとは
NO SIDE(ノーサイド)とは、ラグビー用語で試合終了の事です。 試合が終われば自陣と敵陣のサイドはなくなり、勝った側(SIDE)も負けた側(SIDE)もない(NO)という意味です。 しかし現在このノーサイドを試合終了の意味で使っているのは日本だけのようです。
ラグビーの本場イングランドでも1970年代ぐらいまでは使われていたようですが、今は世界的にも試合終了は「FULL TIME(フルタイム)」が一般的です。 日本以外ではノーサイドはすっかり死語になってしまっているようです。
ノーサイドの精神
発祥の地イングランドでは、中流階級から上流階級の子息が入る名門校でラグビーが盛んに行われたことから、「紳士のスポーツ」と言われました。
ラグビーはコンタクトプレーの激しいスポーツで熱くなりやすい場面も多いですが、それだけに紳士的な精神を忘れないでおこうという思いなのかもしれません。その延長線上にあると思われるのが「after-match function(アフターマッチファンクション)」です。これはラグビーの試合終了後、両チームの選手やスタッフ、審判団や協会関係者などが一同に会して軽食や飲み物を楽しみながら、お互いの健闘を称え合い労をねぎらう交歓会であり、ラグビー独特の催しです。
つまり試合と試合後の交歓会までがセットでラグビーなのです。エキサイトし過ぎて殴り合い寸前まで行ったとしても、試合が終われば笑い話にして全てを水に流し、敵も味方もなく互いを尊重する。それがノーサイドの精神なのです。ノーサイドという言葉が使われなくなっても、その精神はラグビーの中で脈々と受け継がれているのです。
最近では日本でも、試合終了時にレフリーがノーサイドを宣言することはほとんどなくなりました。 場内アナウンスやテレビ中継などではまだノーサイドが使われていますが、出来ればなくなってほしくないですね。
まとめ
いかがでしたか。ノーサイドは紳士的な精神をもとにしたものだったのです。世界情勢が不安な現在、2019年日本で行われるラグビーワールドカップに向けて、日本から世界へ「ノーサイド」という言葉の復活と、そこに込められた精神を広く訴えてみてはいかがでしょうか。